エロマンガ先生 1巻 -妹と開かずの間- 感想

エロマンガ先生 妹と開かずの間 (電撃文庫)
エロマンガ先生 妹と開かずの間 (電撃文庫)
《Amazonからのあらすじ引用》
高校生兼ラノベ作家の俺・和泉マサムネには、引きこもりの妹がいる。和泉紗霧。一年前に妹になったあいつは、まったく部屋から出てこない。今日も床をドンドンして、俺に食事を用意させやがる。こんな関係『兄妹』じゃないぜ。なんとか自発的に部屋から出てきてもらいたい。俺たちは二人きりの『家族』なんだから―。俺の相棒・担当イラストレーターの『エロマンガ先生』は、すっげーえろい絵を描く頼りになるヤツだ。会ったことないし、たぶんキモオタだろうけど、いつも感謝してる!…のだが、衝撃の事実が俺を襲う。『エロマンガ先生』は、俺の妹だった!?『俺の妹』コンビで贈る、新シリーズ!

2017年4月 アニメ化決定作品である『エロマンガ先生 1巻 -妹と開かずの間-』の

ネタバレありの感想になります。

ネタバレありの感想になりますが、ネタバレありの感想の前には注意書きをおいて
おります。

ネタバレありの感想になるまでは『エロマンガ先生 1巻 -妹と開かずの間-』を未読の方に

読んでいただいても問題ない感想になっていると思います。


■□ネタバレなしの感想□■



読もうと思った訳



最初にも書きましたが『エロマンガ先生』が2017年4月にアニメ化ということを知り、

作品に興味をもったのがきっかけという単純なものです。

アニメ化の影響が読者の掘り起こしにプラスになる事例のサンプルですね。

アニメ化の影響については前回感想を書きました『ゼロからはじめる魔法の書』で

取り上げていますので、こちらの感想では省略させていただきます。


エロマンガ先生 1巻 -妹と開かずの間-』の作者である「伏見つかさ」先生は、

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(以下、『俺妹』)という人気作の作者先生ですね。

私は『俺妹』を読んでいないので、「伏見つかさ」先生は本作が初体験になります。

前情報としてしっていたのは、以下の内容くらいでした。

 ・ヒロインは義妹である。
 ・主人公の職業は作家である。
 ・実在のライトノベルネタがある。

うん、間違いなくアニメ化の情報が無かったら手は出さなかったな(笑)

私には実の妹がいますので妹ヒロインものは鬼門なのですよね。

昔は妹ヒロインをファンタジーとして楽しんでいましたが、今は若干鬼門属性なんですよ。

架空の存在としての妹ヒロイン、昔は結構好きなキャラクターもいたんですけどね。

妹ヒロインで面白い作品がありましたら、教えていただけると幸いです。

もしかすると『エロマンガ先生』を読んで妹ヒロインへハマルかもしれないです。


主人公が作家である点は「文学少女シリーズ」や「冴えない彼女の育てかた」といった作品、

漫画でいえば「まんが道」や「バクマン」が好きなので大好物のジャンルです。

私自身には作品を作る能力が無いので作品をゼロから作る作家形の主人公が好きですし、

作品を作るうえでの困難や悩みを乗り越えて魂のある作品を作る点も大好きなのです。

だから、本作の主人公にも創作の苦悩と、その苦悩を乗り越えた喜びを見せてくれることを

期待しています。


また私はライトノベルを中心とした感想をBlogに書いているくらい好きです。

だから、実在のライトノベルをどうネタにするのか?といった点や、

私が知らない、読んでいない作品を知ることができるんじゃないか?といった点で、

この部分も楽しみですね。

ただし、時事ネタ、世代ごとのあるあるネタを多用して笑いを取ろうとすることには、

現実に戻されて醒めてしまう時があります。

なので、ネタとしてを多用せずにギャグとして強調したい際にちょっと使うくらいが良いな

って勝手に思ってました。


エロマンガ先生』を読もうと思った理由と作品への期待と不安は上記でした。



ネタバレなしの感想



読んでみての率直な感想は、「ラブコメものの作品として面白かった」ですね。

すごい面白さに興奮してページをめくったとか、展開にドキドキしたとかはなかったですが

一定以上の品質を楽しめる良作でした。

全体的に手堅くまとまっており、ラブコメ面でも作家物の面でもホームドラマ面でも

話に無理や破綻は無かったと思います。

各ヒロインが主人公の身近にいすぎ、主人公たちの職業と年齢設定がって面では

無理がありますが、それはご都合主義というか舞台設定上見逃さないといけないですね。

その部分が受け入れられないなら、そもそも『エロマンガ先生』は読まないほうがいいです。

でも、受け入れられるなら十分楽しめる作品でありますし、満足良くとも思います。


読みやすいし、面白いので十分楽しめましたが、私の心には響いてくるものが少なかったです。

私の魂とは合っていないかなとも思いました。


後述しますが、ある登場人物の存在が無かったら『エロマンガ先生 2巻』を、

続巻を読みたいとは思わなかったでしょうね。


これは『エロマンガ先生 1巻』が1巻完結の作品としてではなく、

1巻時点でシリーズ物を意識した作りになっていることにも原因があるように思えます。

先の展開を考えているため、主人公とヒロインが作家や創作者になったきっかけ、

幸せだった家族に起こった出来事をまだ匂わすだけで描かれていません。

そういった登場人物の行動の根本となる理由がハッキリ分からないため、

何でそう考えて、何でそんな行動をとるんだよ!!って部分で共感が出来なかったです。


面白い、良作といっている割に不満ばっかりの感想になっていますね。

なんというか一定以上に面白い作品ほど、自分にとって物足りない部分に対して

色々と語りたくなっちゃうんですよ。

本当に嫌いな作品、合わない作品なら、もっと無難にいいとこ探しをしてお茶を濁しますし。



そんな『エロマンガ先生 1巻』ですが、いよいよ内容についての感想を。

まずなんといっても本書はラブコメが主要な作品なのでラブコメ部分から見ますと、

ラブコメものとしてのお約束(主人公が鈍い、ヒロインたちが勝手に寄ってくる、

家族不在、ヒロインはみな美少女など)を踏襲している点や、

ヒロインたちそれぞれの良さというか属性分けがキッチリできている点で

本作品を安心して楽しむことができました。

読者に対して心地いい空間を作ることを目的としていたためなのか、

エロマンガ先生 1巻』では主人公以外の名前つきの男性キャラがまったく出てきません。

この徹底振りに気づいたときには乾いた笑いが出てくるほどでしたね。


ラブコメもののお約束や鉄板を守っていることの良い点があれば、当然悪い点もあります。

主人公「和泉 正宗(以下、正宗)」のくせの無さと魅力の有無については、

人を選ぶように思います。

何故ヒロインたちが「正宗」に好意を持ったのかも理解はできませんでした。

少なくとも私は「正宗」のことは嫌いじゃないですが、好きでもありません。

「正宗」の考え方に共感できませんので感情移入もできなかったです。

「正宗」は15歳ということもあり、考え方がまだ背伸びした少年だからこそ

その青臭い考えに共感をもてないのかもしれません。


本作品のヒロインは「正宗」の義妹である「和泉 紗霧(以下、紗霧)」です。

「紗霧」もお約束を集約したようなヒロインですね(笑)

寂しがりや、好きだけど素直になれない、小動物系だけど「正宗」には乱暴

なんかヒロイン属性の塊ですね。

何かしらの読者のツボにはまるポイントがあれば人気がでそうなヒロインですね。


「正宗」と「紗霧」とが、最終的には恋人同士、本当の家族になるというのが

エロマンガ先生』のラブコメ部分とホームドラマ部分の結末なんだろうなと

エロマンガ先生 1巻』にして分かるように描かれています。

そのため、結末のぶれなさと主題の強さという意味では安定感と安心感がありますね。

たとえ二人の関係がぶれても危機が訪れても、きっと最後は大丈夫という安心感があります。

ただし、その安心感は結末の読めなさという部分と「紗霧」が合わなかった読者を

切り捨てていくというと部分を犠牲にして成り立っていると思います。

誰とくっつくんだ?という楽しみ方をしたい読者にはお勧めできない作品でもあります。



ラブコメを主題とした作品ですので、兄と義妹の家族ものとして部分は

この『エロマンガ先生 1巻』の段階では薄いなとも思いました。

異性としての好意の部分はクローズアップされていましたが、家族として兄妹としての描写は

薄かったと思います。

兄として、家族として「正宗」が、「紗霧」のために何かをしようとしている姿は

描かれていましたが、「紗霧」側から兄のためという行動が見られませんでした。

エロマンガ先生 1巻』の段階では家族としての側面は描かれていませんでしたが


続刊では家族となっていく過程が描かれてホームドラマ部分の描写も濃くなると

作品がより面白くなると思いますので、続刊ではその点を注目したいと思います。



本作品で一番期待していた作家物、創作者としての部分でしたが、正直、期待しすぎました。

作家である「正宗」が作家として創作者として出来ることを通して「紗霧」との

関係を進展させていく点は面白かったです!

ですが、「正宗」の作家として創作者としての能力、作品を作っていくことの苦悩、

作品を世に出したことに対する思い入れと喜びって面が軽かったなって思いました。

作品を作るうえでの苦悩している姿や、作品を描く姿も薄かったです。

ヒット作が出せないこと、本人も面白い作品がかけないことでの悩みはありましたが、

解決策を思いつき打開するまでの描写が薄かったんですよ。

だから面白い作品を書けたって時にカタルシスを感じられなかったんですよ。

創作をする苦悩と喜びをもっとメインに書いてほしかったですが、

エロマンガ先生 1巻』の主題はラブコメ作品の導入部分だから仕方ないのかな。

続刊ではこの部分の書き込みにも期待したいです!




それでは、ここから下はネタバレ注意になります。

エロマンガ先生 1巻 -妹と開かずの間-』のネタバレありの感想になります。

未読の方、ネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします・





■□ネタバレありの感想□■



エロマンガ先生 1巻』では、主人公「正宗」とヒロイン「紗霧」が、

お互いの正体を知るところから物語が幕をあげます。

「正宗」には作家「和泉マサムネ」としての側面があり、

「紗霧」にはイラストレーター「エロマンガ先生」としての側面があります。

作家とイラストレーターが同じ家に住んでいて家族になっていたというご都合展開!

ネタバレなしの感想にも書きましたが、作品全体として読者層を意識したご都合の

よろしい舞台設定展開が多すぎな気がするくらいありましたね。

本屋の娘「高砂 智恵」とも知り合いで昨今の売れ筋の作品の情報を教えてくれる程度なら、

それ位なら有りかなって思うのですが、「紗霧」の同級生の「神野 めぐみ」の存在は

作者の都合で生み出された登場人物としか見えなかったです。

「正宗」が「紗霧」のことをどう思っているのか、「紗霧」との関係をどうしたいのかを

「紗霧」に間接的に伝えるためだけに登場してきただけに思えました。

まだ1巻の段階なので各登場人物に見せ場を作れなかったから、

私にそう見えてしまっただけかもしれません

ですが、作者の都合の範疇から一歩も出ていない登場人物には舞台装置の役割以上の気持ちは

抱けなかったですね。

逆に『エロマンガ先生 1巻』で一番好きになった登場人物は、「山田 エルフ」先生でした

彼女の存在が無かったら私はこの作品を最後まで呼んだかは怪しかったです。

「山田 エルフ」先生が出てくる場面は「正宗」の言動も面白く、面白さに胸が熱くなりました。

「山田 エルフ」先生の存在も、「正宗」に作家として一段飛躍させるという役割を

メインとして生まれてきたと思いますが、

その意図以上に「山田 エルフ」先生には魅力を感じ、彼女の存在が私の胸に刻まれましたよ。

「山田 エルフ」先生の言動もコメディーメインのものなんですが、

彼女の魂には創作者として熱さが秘められていてある種「伏見つかさ」先生の

作家として創作者としての想いがこめられているんじゃないかと思います。

「山田 エルフ」先生の熱さと同じくらい、「正宗」の魂もも熱くなってくれれば

エロマンガ先生』はとても熱くて面白い作品になるんじゃないかと期待しています。


そんな熱い「山田 エルフ」先生に触れた「正宗」も自分が一番大切なものを主題にして

小説を書き上げていったのですが、その主題が『義妹(紗霧)』とは狂っていますね(笑)

そんな小説を一番最初に読まされた「山田 エルフ」には同情です。

作品としては面白いと思いますが、「正宗」に気のある雰囲気の「山田 エルフ」先生からしたら

馬鹿らしいことこの上ないですよね。

私自身に置き換えてみて考えてみましたら、

「好きな女の子とメールしていたら、その女の子が好きな男性とのメールを読まされる羽目に」

うん、悲しくて涙出てきますね。「山田 エルフ」先生は泣いても良いと思います。

ラブコメとしては完全に勝者が「紗霧」として決まっている以上、

作品としての盛り上げる部分、熱くさせる部分は『作家物、創作者もの』になりますので、

エロマンガ先生 1巻』のラストで見せてくれた「マサムネ」と「エロマンガ先生」の

創作に対する想い、プライド、熱さを是非『エロマンガ先生 2巻』以降でも

見せていってほしいなと思いますし、期待しています。

あと、できたら2巻以降も「山田 エルフ」先生には活躍をしてほしいな(笑)

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