ゼロから始める魔法の書 1巻 感想

ゼロから始める魔法の書 (電撃文庫)
ゼロから始める魔法の書 (電撃文庫)
《Amazonからのあらすじ引用》
教会歴526年―。世界には魔女がいて『魔術』が存在していた。そして、世界はまだ『魔法』を知らなかった。そんな時代、人々に“獣堕ち”と蔑まれる半人半獣の傭兵がいた。日々、人間になることを夢見る彼だったが、その数奇な運命を一人の魔女が一変させる。「―戻りたいのか?人間に。ならば傭兵、我輩の護衛になってくれ」ゼロと名乗る魔女は、使い方しだいでは世界を滅ぼしかねない魔法書“ゼロの書”を何者かに盗まれ、それを探す旅の途中だという。傭兵は、人間の姿にしてもらうことを条件に、大ッ嫌いな魔女の護衛を引き受けるのだが、禁断の魔法書をめぐって人々の思惑が絡み合い…。第20回電撃小説大賞・大賞受賞作!

2017年4月からアニメ化する電撃文庫の人気作品『ゼロから始める魔法の書 1巻』の

ネタバレありの感想になります。

ネタバレありの感想になりますが、ネタバレありの感想の前には注意書きを置いております。

ですので、『ゼロから始める魔法の書 1巻』を未読の方でも、

ネタバレありの注意書きの箇所までは読んでいただいても大丈夫です。


■□ネタバレなしの感想□■



『ゼロから始める魔法の書』を読もう思った理由とアニメ化について



私が本作『ゼロから始める魔法の書』を読もうと思いましたのは、

2017年4月からアニメ化するということを知り、本作に興味を持ったからです。

私自身の面白い作品を見つけるアンテナの低さもあるとは思いますが、

アニメ化による原作作品の知名度アップの効果は大きいということを改めて意識しました。

普段ライトノベルを読んでいる層である私ですら知らない、手を出していない作品があります。

ということは、普段ライトノベルを読まない層である人たちに知ってもらうためには、

アニメ化やマンガ化、更にはドラマ化など他ジャンルのメディアに進出しないと

いけない訳ですね。

原作作品のアニメ化の際、キャラクターデザインや声優、

作品の出来に対しての不満を持つことがありましたが、

まずはアニメ化して知名度があがったことを喜ぶべきなのかもしれないですね。

まあ、あまりにアニメ化した際の出来が悪いと原作作品まで叩かれてしまうので、

一定以上の品質は担保しておくべきだとも思います。



ゼロから始める魔法の書 1巻』ネタバレなしの感想



孤独だった魔女と孤独しかしらなかった傭兵がたまたま出会い、

ともに旅をする中での会話や交流で孤独を癒し、

ともに互いを貴重な存在だと意識していく姿が個人的に好きですね。

ゼロから始める魔法の書 1巻』は、魔女である『ゼロ』と獣人の『傭兵』が、

旅を通して仲間に友人になっていく話だと思っています。

この1冊の小説を通じて心の交流を描いてくれたからこそ『ゼロ』と『傭兵』が

お互いを信じる姿、二人の間に芽生えた絆に納得できたんだと思います。

孤独だったが故に相手を疑ってしまい一時は離れてしまった二人が、

命をかけて再会し、自らのみを省みずにお互いがお互いを救ったことで、

本当にお互いを信頼することができたクライマックスの場面が

私のお気に入りの場面です。


他にも『魔術』という技術が発達した世界で『魔術』という概念を変える

『魔法』という新技術と、その新技術『魔法』がもたらす変化や出来事も興味深かったです。

広まった『魔法』という技術がもたらす世界の変化と出来事は、

個人的にとても好みの題材でした。

『魔法』という新技術がもたらした功罪。

『魔法』という技術が巻き起こした悲劇と『魔法』が広まったからこそ最後に訪れ希望。

『魔法』という技術がこの物語のもう一つの主役な気がします。します


ゼロから始める魔法の書 1巻』について



ゼロから始める魔法の書 1巻』は、第20回電撃小説大賞における大賞受賞作であり、

作者の「虎走かける」先生のデビュー作でもあります。

大賞作やデビュー作に対する私の勝手な印象は、「面白いけど荒削り」や

「勢いはあるけど少しまとまりに欠ける」でした。

ですが、『ゼロから始める魔法の書 1巻』は、私の勝手な印象とは違いました。

丁寧に手堅く物語が作られていて、物語の進み方や登場人物の心境に破綻が無くすすんでおり、

物語の途中で醒めたりする事がなく読了することが出来ました。

登場人物が絞られているお陰でどの人物が何をしているかを混乱することもありませんでしたし、

無駄なアイテムや情報が無かったので、読み返したときや気づいたときに

成るほどと楽しむことができました。

読了後、読み返すと本当に無駄が無く良く練られているなって事が把握することができました。


そういう意味で『ゼロから始める魔法の書 1巻』は読みやすく分かりやすい作品です。

ただ、そのメリットはデメリットと表裏なんだなって思いもあります。

分かりやすいが故に意外性が少なく、物語が手堅く丁寧な分、作品の、登場人物の熱という部分で

私の心に響いてこなかったなってところもありました。

贅沢を言っているのは私自身でも分かっているのですが、

手堅く丁寧な物語に登場人物たちの熱が、熱さが入ってくれれば、

この『ゼロから始める魔法の書』の世界に、はまれるのになって思ってしまいます。

ゼロから始める魔法の書 1巻』の作品にはまるほど好きにはなりませんでしたが、

世界に広がってしまった革新的な技術がもたらす世界の変化と出来事。

その変化と出来事を見ることで変わってしまうかもしれないゼロと、

そのゼロを見守る傭兵の心境と親交の移り変わりは面白そうだとは思いますので、

ゼロから始める魔法の書 2巻』も読んでみようと思います。





それでは、ここから下はネタバレ注意になります。

ゼロから始める魔法の書 1巻』の

ネタバレありの感想となります。

未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。





■□ネタバレありの感想□■



『ゼロ』と『傭兵』



ゼロから始める魔法の書 1巻』で見せてくれた『ゼロ』と『傭兵』の交流は、

付き合う前の恋人のようにも、仲のいい男友達同士がやる馬鹿ふざけのようにも見えて

二人の関係が心地よかったです。

だからこそ『傭兵』離れてしまったときの『ゼロ』の気持ちを思うと胸が痛くなりますし、

『傭兵』が屋根を突き破って現れ再会したときの『ゼロ』の気持ちを思うとうれしくなります。

『傭兵』も本能で『ゼロ』のことを信じるって決めたんだから、下手な理性で疑心暗鬼にならずに

まっすぐ『ゼロ』にぶつかっていけば良かったのにな。

小心者で疑い深いのが『傭兵』なんだから仕方ないけどさ、あれは駄目だと思いましたわ。

許してくれたのは『ゼロ』が『傭兵』のことを信頼したままだったからでしょうね。


『傭兵』は、半人半獣の獣堕ちゆえ他の人々に受け入れられずにいたため疑い深いのでしょうし、

裏切られて辛い思いをしたくないからこそ、受け入れられた事を信じたくなかったのでしょう。

『十三番』に対して『ゼロ』を孤独にさせたことを非難したときの『傭兵』の言葉は、

『傭兵』自身が味わってきた孤独の辛さからのものだったのでは無いでしょうか。

だから『ゼロ』の心に響き、『傭兵』に対する信頼と仲間意識が深くなったのだと思います。


『ゼロ』と『傭兵』の関係は、互いに互いの孤独を癒し慰めあう関係に思えます。

旅を続ける中で、ある種の共依存のような今の関係が変わってゆくのか?

という点でも『ゼロ』と『傭兵』の旅がどう進んでいくのかが楽しみですね。



魔法について



『ゼロの書』によって広まった『魔法』という技術。

『魔法』は世界を革新する技術であり、その習得の容易さゆえに一旦広がったが最後、

もう秘匿することは出来ない技術だと思います。

ゼロから始める魔法の書 1巻』では、『ゼロ』が『傭兵』と共に世界を見るために

旅へ出るところで終わります。

『ゼロ』が見たいといっていた「宝石でできた木』、「空を流れる川」といった

不思議で綺麗なものだけではなく、『魔法』がもたらした悲劇や

『魔法』を使用する人の醜い欲望をも否応無く見ることになると思います。

人へ受け入れられるために善意を持って『魔法』を生み出した『ゼロ』にとって、

その『魔法』がもたらした悲劇、悪意をみることに耐えられるのかも今後気になるところです。

『ゼロ』が世界に絶望し、人を見捨てる決意をしたとき世界を滅ぼす可能性がある。

と十三番が警告していましたが、私はきっとその時は来ないはずだと思っています。

なぜなら、アルガスのように善意をもって『魔法』を使おうとした人物もいましたし、

何より『ゼロ』の傍らにはいつも『傭兵』がいるはずですから。

小心者で臆病で素直じゃないですけど『傭兵』は根っからの善人ですから、

『ゼロ』の悲しみや寂しさを分かち合い、喜びを倍にしてくれると信じています。


既刊8巻出ているので外れていたら恥ずかしいことこの上ないのですが、

『ゼロ』以外にも『魔法』の技術を編み出した人物がいそうな気もするんですよね。

『魔法』は革新的な技術でしょうが、『ゼロ』にしか思いつかない技術ではないと思いますので。

魔女と争い、その争いに勝った教会側にそういった人物がいそうな気もしますが、どうでしょうか?

『ゼロから始める魔法の書』はバトル物の作品じゃないから、そんなことは無い気もしますが、

その辺が気になるんだよなあ。

『ゼロの魔道書』では安全装置の性で『ゼロ』に勝てないとしても、

『ゼロ』と同じ理論でつくった『魔法』を使うものがいたら勝負になりますから。

この辺も気になるんで『ゼロから始める魔法の書 2巻』を読もうと思います。

ゼロから始める魔法の書 1巻』の
『ゼロ』と『傭兵』が旅をしている姿が楽しかったです。

旅を通してお互いを理解し、仲が深まっていく姿が好きだったのですが
その時思いだしたのが『星界の紋章』でした。
『ラフィール』と『ジント』がお互いの文化、身分の違いを乗り越えて
仲良くなっていく姿、危機から乗り越えるために協力する姿は
とても面白く、この『星界の紋章』を好きになった覚えがあります。

『星界の紋章I 帝国の王女』が出版されたのは、なんと1996年でした。
既に出版から20年以上たっていますが、今なお色あせない名作ですので、
まだ読んでいない方がおりましたら、ぜひ手を出してもらえたら嬉しいです。
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