幼女戦記 3巻 The Finest Hour 感想

幼女戦記 3 The Finest Hour
幼女戦記 3 The Finest Hour
《Amazonからのあらすじ引用》
金髪、碧眼の幼い少女という外見とは裏腹に、『死神』『悪魔』と忌避される、帝国軍の誇る魔導大隊指揮官、ターニャ・デグレチャフ魔導少佐。戦場の霧が漂い、摩擦に悩まされる帝国軍にあって自己保身の意思とは裏腹に陸、海、空でターニャの部隊は快進撃を続ける。時を同じくして帝国軍は諸列強の手を跳ね除け、ついに望んだ勝利の栄冠を戴く。勝利の美酒で栄光と誉れに酔いしれる帝国軍将兵らの中にあって、ターニャだけはしかし、恐怖に立ち止まる。

アニメ絶賛放送中。

原作の売れ行きも絶好調の『幼女戦記 3 The Finest Hour』の

ネタバレありの感想になります。

ネタバレ有の感想になりますが、ネタバレ前に注意書きを置きますので、

そこまでは未読の方でも読んでいただいて大丈夫ですよ。



幼女戦記 7巻の感想にも書きましたが、アニメ化の影響って本当に大きいですね。

アニメから幼女戦記を知って興味を持つ方が増えています。

今回感想を書く幼女戦記 3巻もAmazonの売れ行き順位も上がっていますし、

私のブログにも幼女戦記で検索をして訪問してくださる方が多数になっています。

私の拙い文章を読んでくださったことへの感謝と、

幼女戦記ファンの方が増えてくれたことへの喜びを感じます。

ともに『デグさん』をめでる仲間として、これからも幼女戦記という作品を

一緒に楽しんでいければ良いなって思っています。





さて、早速『幼女戦記 3 The Finest Hours』の感想に入りますね。

幼女戦記 3巻』のサブタイトルとなっている『The Finest Hours』は、

『輝かしい時』か『最良の時』と認識するのが正しいかな?

これはチャーチル首相が、ドイツに侵略され窮地に追い込まれた時に行った演説

『This was their finest hour』がベースとなった言葉なんでしょうね。

チャーチル氏の演説の場合は苦しい時代を迎えているが、

そんな時代でも振り返れば最も輝かしい時代であったと語れるように今奮闘しよう

という英国紳士らしいレトリックでした。


ですが、帝国にとってはレトリックなどではなく言葉通りの意味でしかありません。

共和国軍主力を包囲殲滅し、戦勝が確実視されていたこの時こそが

『最良の時』となってしまうのか?

偉大なる勝利、栄光ある戦後というイメージに帝国軍、帝国臣民ともに

浮かれてしまい、帝国指導層と参謀本部が勝利の詰めを誤まってしまうこの事態は、

現代世界の戦訓を知っている『デグさん』からしたら信じられない怠惰、

誤謬としか思えないでしょ。

『輝かしい時』を迎える機会を逃し、それを回避しうる千載一遇の機会すら許されなかった

その絶望はP.201の挿絵で十分以上に描かれているように思えます。


完全なる勝利を得る機会を逃し、栄光を味わう時をも逃した帝国は、

泥沼の戦争を継続していきます。

『輝かしい時』、『最良の時』は逃したかもしれませんが、よりましな未来を得るために。

敵にも味方にも被害を撒き散らし、『デグさん』本人も望まぬ戦場働きを

続けていくことになるのでしょうね。

『デグさん』本人としては命の危険の無い後方でのデスクワークこそ望むところですが、

戦場での働きっぷりと、出世を意識した好戦的な発言からの上層部の認識からして

第一線から引き上げることはできないでしょうから、終戦のそのときまで最前線勤務だろうな。

デグさんにとっての『The Finest Hours』は、いつ訪れるのか(笑)

次巻以降もデグさんの苦戦苦闘奮戦力闘と、ディスコミュニケーションギャグを

楽しませてもらおうと思います。




それでは、ここから下はネタバレ注意になります。

幼女戦記 3巻 The Finest Hour』の

ネタバレありの感想となります。

未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。





ネタバレありの感想





幼女戦記 3巻での戦争状態



共和国戦は帝国参謀本部立案の首狩戦術を起点とした主力誘致からの 

全周包囲殲滅線が大成功と神業過ぎる勝利を手に入れましたね。

まさにハンニバルもかくやの戦術的大勝利です。

この勝利の立役者は、共和国主力の司令部の首狩を成功させた『デグさん』と

第203航空魔導大隊の実力でしょう。

まあ、『デグさん』+『強行偵察用特殊追加加速装置』という凶悪かつ、

いって来いの特攻作戦でなければなしえないという時点で再現性の低い

リスキーな作戦でしたね。

そんなリスクを背負った作戦で目標を達成し、さらには重要な敵諜報拠点まで壊滅させるとは

まさに悪魔的、いや神に愛された『デグさん』だからこその戦果でしょう。

それに巻き込まれ悩みが膨らむハーバーグラム卿とジョンおじさんの明日はどっちだ。


ただ、神業過ぎる勝利を得たことで対共和国戦自体の勝利が目の前に見えたことで、

帝国指導部と参謀本部が浮き足立ってしまったのが最大の過失になりそうですね。

歴史を振り返ったときに帝国が敗戦に向かうターニングポイントとして、

この時が描かれることでしょう。

財政的にもこれ以上の長期戦争は耐えられぬと指導層が認識していたその時に

訪れた鮮やかな神業過ぎる勝利。

これで浮き足立つなというほうが無理かもしれませんが、

このときに停戦に向けて外交的に動いておくか、

『デグさん』がやろうとしていたとおり敵残党を殲滅できてさえいればな。

そうできていれば最新刊まで今なお続く、泥沼の戦争、

勝ち続ける帝国軍ですら耐え切れない消耗戦は避けれたことでしょう。


共和国主力を殲滅できた後にも続く共和国残党軍との延長戦。

正式に宣戦布告をし、参戦してきた連合王国との戦争。

対共和国戦で大きな勝利を神業過ぎる勝利を手に入れたはずの帝国は、勝利の栄華を味わうことも

戦争後の平和を噛み締めることも許されず、総力戦である戦争は続いていきます。

まさにハンニバルと同じく戦いでの勝利を生かすことができない状態となっています。

「戦争は始めるよりも、終わらせる方が難しい」」

という歴史上の名言がそのまま帝国にも当てはまりますし、

「勝ち続けて、勝ち続けて、最後になって負けるのか。」

という銀英伝のラインハルトの言葉が、帝国の行く末にもなるのではないかと思います。



3巻でのデグさん



現代の我々の世界に生きていた『デグさん』としては、

歴史上の知識として『ド・ゴール』ならぬ『ド・ルーゴ』を逃すことの危険性を理解しています。

だからこそ、命令無視とも抗命行為ともとられかねない、普段の保身第一、

出世至上主義の『デグさん」からは考えられない行動を犯そうともしました。

ですが、『デグさん』の行動の起点となる知識は、他の人間には説明ができない知識です。

その大本は我々の現代世界に置き換えての考えですから、他者を納得させることはできないです。

私だって、同僚や友人が前いた世界ではとか言われても納得するわけないですし。

説明できないもどかしさ、他者とは共有できない思い、

手に届く位置にある勝利の栄光とそれを逃した際に訪れる悲劇

その全てを読者である私は理解できるだけに『デグさん』の絶望感も分かってつらいです。


あと一歩手を伸ばせていれば届いた勝利、停戦を告げる伝令が『デグさん』の元に来た

その瞬間こそが帝国にとっての『The Finest Hours』となりそうな予感がします。

『デグさん』が抱いた停戦後の栄光と希望、それからの絶望の落差。

それこそが『幼女戦記 3巻』の主題なのかもしれません。


ただ、幼女戦記の作品的に『デグさん』が絶望のまま、

悲嘆にくれ続ける訳ではないのが救いですね。

現状に不満を述べつつも、派遣された戦場で保身をしつつも最大級の成果をだす

それこそが『デグさん』の持ち味。

関が原の島津の退き口を参考に敵中突破を行い、その行動ががロメール将軍にも

誤解メインの評価をされ、共和国軍を撃退する勝利につなげるのですから。

まさに『デグさん』は神に愛された存在以外の何者でもないですね。

主をたたえよう 主は慈しみ深く そのあわれみは永遠

『デグさん』からすればこのことは心外以外の何者でもないでしょうけどね。



3巻でのメアリー・スーさんのコーナー



この頃はまだ幸せだし、メアリー・スーさんもまともに見えたんだよなあ。

義勇兵になんか志願せずに、家庭に残っていたほうがメアリー・スーさん以外の

全ての人が幸せだったんだろうな。

この志願により面倒を見ることになるドレイク中佐と、

仇として付け狙われることとなる『デグさん』に同情だわ。

まあ、『デグさん』には自業自得、因果応報な部分はありますが。

だから肉親の敵を、実の父を殺した相手への報復を考えるのは、

個人として応援するのもやぶさかではないですが、

それは近代軍隊の兵士としてどうなんでしょうね?

「自分にできる何かをやりたい」というメアリースーさんの思いは立派なんですが、

その思いを優先して兵士として士官としての義務を蔑ろにしようとする姿を

5巻とか6巻とか7巻とかで見ているだけにもにょりますわ。

メアリー・スーさんと彼女の家族にとっての『The Finest Hours』であった

アンソン・スーさんが生きて家庭にいたころに時間を戻してあげたいと、

彼女のためにも彼女によって迷惑をこうむる人たちのためにも願いますわ。


メアリー・スーさんは今のところ出番が少ないですが、

目を離せない行動(活躍ではなく)を多々していますので、

4巻以降の感想でも彼女のことを別項目で取り上げて生きたいと思います。



3巻のまとめ的な




栄光に満ちた戦争の終わりが見えかけた上での、泥沼な戦争の継続。

栄光が一度見えてしまった分、この終わらぬ戦争への苦難は深まっています。

幼女戦記 4巻では、この終わらない戦争の中『デグさん』がどの戦線に出向き、

嗤いながら敵を倒していくことになるのか?

4巻も再読して感想を書いていこうと思います。



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コミカライズ版も絶賛売れていますね!
自分も発売日に買いました。

ちょうど先週のアニメ版幼女戦記 第4話で
このコミック版 幼女戦記 3巻の内容に突入しましたので、
アニメ版とコミック版で比較しながら見るのも楽しいと思います。

自分も4話では比較してみてましたので、
後日、このコミック版幼女戦記3巻の感想を書く際に
その辺も書こうと思います。
幼女戦記(3)<幼女戦記> (角川コミックス・エース)
KADOKAWA / 角川書店 (2017-01-26)
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この記事へのコメント

  • 今後どんな話になるのか?ネタバレを希望してたが感想文なのか?ネタバレになってない 意味が不明のわりに登場人物を簡略化してるのかだれがだれなのかも不明
    2017年03月21日 17:13
  • 通りすがり

    今後どんな話になるのか?ネタバレを希望してたが感想文なのか?ネタバレになってない 意味が不明のわりに登場人物を簡略化してるのかだれがだれなのかも不明
    2017年03月21日 17:13
  • くじらさん

    コメントありがとうございます!

    ご期待に応えられない内容で申し訳ございませんでした。
    今後は、ご指摘いただきました箇所を意識した上で感想を上げさせていただきます。

    拙い文章を読んでいただきまして、ありがとうございました。
    2017年03月21日 22:45

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