月とうさぎのフォークロア 1巻 感想

月とうさぎのフォークロア。 St.1 月のない夜、あるいは悩めるうさぎ。 (GA文庫)
月とうさぎのフォークロア。 St.1 月のない夜、あるいは悩めるうさぎ。 (GA文庫)
《Amazonからのあらすじ引用》
「…朔、いそいで」朔の手を掴んで走るのは、稲羽白。長く透きとおった絹のような髪を持った美少女だ。無口な白の頭には柔らかそうなロップイヤーがあった。ここは白のような『神人』と人間が共存する異世界。そんな世界で朔の家は他家と抗争を繰り広げていた。仲間や家族を守るため、白と一緒に戦う朔。そんなふたりに狡猾な罠が迫るなか、幼なじみやクラスメイト、他家の娘たちの間では、朔を巡って牽制&バトルも勃発する―!!「よかったら、夏休みに私と―」「朔のこと、好きでありますよ?」月欠けた夜―血に塗れた神々が白き神人を紅く濃く染める、第8回GA文庫大賞“奨励賞”受賞作。


発売後、Twitterやラノベブロガーに高評価で話題になった徒埜 けんしん先生の

『月とうさぎのフォークロア。 St.1 月のない夜、あるいは悩めるうさぎ。』

の感想になります。

徒埜 けんしん先生のデビュー作であり、第8回GA文庫大賞《奨励賞》受賞作です。

読んでみますと新人の作家さんの作品とは思えぬ出来で、話がしっかりまとまっていました。

受賞作ですが続刊に続く感じなのは昨今の流れなので、続刊前提なのですね。

タイトルにもSt.1とあったのに最後にようやく気付きましたよ。


話としては八百万神の血を引き、一般人にはない力を持つ『神人』と呼ばれる能力者である

主人公『朔』とヒロインの『白』が仲間や家族を守るため、闘うというオーソドックスな

作品の作りなのです。


ですが、他の異能バトル小説と違う点として『月とうさぎのフォークロア。』の特異な点は、

作品の根底に【任侠もの】要素をもっているところですね。

ただし、【任侠もの】といっても弱きを助け強きをくじき、勧善懲悪的な任侠ではなく、

最近の任侠もの映画や漫画に疎いので他にぴったりの候補があるかもしれないですが

分かりやすく言えばライトノベル版『仁義なき戦い』、

ラノベ版『静かなるドン』といったところでしょうか。


一般社会の中に能力者である【神人】が溶け込み、神衆組織という

現実世界でいう指定暴力団組合を組んでいるのですが、

その神衆組織間の抗争が本作品で描かれています。

主人公『朔』とヒロイン『白』の所属する月夜見一家に迫りくる

敵対神衆組織の魔の手を、主人公とヒロインの力を使い払いのける。

親の仇、組の意地、組織を窮地に陥れる裏切り者の影と、

任侠ものの基本的な流れは抑えている作品なのではないでしょうか。

今巻ではまだ1巻ということもあり、月夜見一家の組織としての力というより

主人公とヒロインの力と覚悟を魅せる形でした。

続刊では個人の力にプラスして、組織としての力も見ることができれば、

より楽しく、作品にも深みが出るんではないかと思います。


まだ物語は始まったばかり。

高校生である主人公の成長、ヒロインたちとの恋愛面、月夜見一家の拡大と

作品を面白くする要素はいっぱいありますし、

任侠・ヤクザ物として他組織との抗争や、経済面での戦い、政治との癒着と

色々とジャンル的に発展させることも可能だと思いますし、続刊も楽しみです。

『月とうさぎのフォークロア。 St.2』が発売されたら、また購入しようと思います。




それでは、ここから下はネタバレ注意になります。

『月とうさぎのフォークロア。 St.1 月のない夜、あるいは悩めるうさぎ。』の

ネタバレを含む感想を書いていきます。

未読の方や、ネタバレを見たくない方はここで引き返すことを推奨いたします。




ネタバレ有りの感想



上でも書きましたがまさかの任侠もので驚きましたわ。

ラブコメ要素の強い異能バトルと思っていましたので、驚きが大きかったですね。

表紙や、最初のお風呂シーンとかだますつもり満々の演出ですよね(笑)


1巻の展開としては、神衆組織の継承と敵対神衆組織との抗争、

親殺しの仇うち、親しい身内の裏切りと落とし前と、

任侠ものとして定番展開は抑えているように思えますね。

定番展開といいますが、決してそれが悪いと言う訳ではありません。

定番、王道というのは定着するくらい人気があり、面白い要素の詰め合わせですから、

その定番展開を陳腐に思わせないようにしている徒埜 けんしん先生の筆力は

新人とは思えぬ安定感があります。


一郎兄さんの裏切り自体は、裏切りの理由と合わせて意外とは思えぬ展開だったので

驚きは少なかったのですが、裏切り者にキッチリと落とし前をつける展開は

作品のテーマに合致して矛盾のない落としどころでGoodだと思います。

見逃したり、片腕を落として命は助けるとかなっていたら拍子抜けしてましたし、

任侠ものとしてあかんだろと思いましたからね。

作品の根底に任侠ものがあることが明確になりましたので、

今後の展開も温くならないだろうなという信頼感が芽生えましたよ。


神衆組織の抗争が任侠ものとして温くならず緊張感を持ってくれると、

対のパートになるヒロインたちとの日常にも魅力が出ますし、

ヒロインたちも抗争でどう活躍するのかや、ピンチになった時の緊張感がましますからね。


ヒロインというと1巻ではメインヒロインの『白』と

月夜見一家の庇護下に入った犬吠埼組組長『犬吠埼春』が目立ちましたね。


『白』は完全に正妻枠で、他のヒロインたちとは別格でその魅力も戦闘力も

大きくページを割かれて描かれていました。

初っ端のお風呂に乱入してくるシーンや、寝ている『朔』の布団に入ってくるシーンと

完全に据え膳で誘っていますわ。

『朔』の方も『白』は別格に考えており、傍からいなくなることなんて考えてもいないのですが、

全然手を出す気配がないんですよね。

『白』の身体に魅力を感じている描写はあるんですが、そこでいかないとかヘタレかよ

恋愛が良く分からないとかぬるいこと言ってるなよ思うのですが、

幼いころから一緒に居て家族と同じだからこそ簡単に手が出せないんでしょうね。

ここまで手を出さないとなると、手を出すには命の危機を覚える状況になるまでなさそうですな。

『朔』も女性を見るときに、まず胸の大きさを見るわりに自制心があるのわ凄いな(笑)

2巻以降も『白』からのアプローチは多いでしょうから、

どこまで『朔』が耐えきれるかを楽しみますかな。


『犬吠埼春』の方は名前の示す通り犬系神人だけあって、忠誠心が強いタイプですね。

好きな男には尽くしちゃうタイプの可愛さがあります。

愛神宣言しちゃうとか都合のいい女っぷりを遺憾なく発揮しちゃってるところが

サブヒロインから抜け出せないところなんでしょうね。

二心ないことをアピールするために、お腹を出して尻尾を丸める姿は、まさしく犬可愛いですわ。


他にも猫系神人である『梓見鈴』もヒロイン候補ですが、1巻では見せ場が少なかったので、

活躍は2巻以降に期待かな。

鬼神の『大江朱莉』も顔見世だけでしたので、2巻では鬼衆会がからんできそうですね。



1巻完結ではなく、続刊前提の作品の1巻なので、世界観の説明、キャラの顔みせ

今後の展開の伏線と種をまいている状態だと思いますので、2巻以降で1巻でまいた種を

刈り取るような面白い展開となることを期待しています。



任侠ものというより暴力団ものですが、
『アウトレイジ ビヨンド』もお勧めの面白さ。
『月とうさぎのフォークロア』と違い登場人物に
全然肩入れは出来ませんが、暴力団もので肩入れできるのも問題なので、
これはこれで
組織間の抗争の厳しさと、暴力のきつさは半端ないですね。
『月とうさぎのフォークロア』の世界観がこんな殺伐としてたら恐ろしいですわ。
アウトレイジ ビヨンド [DVD]
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この記事へのコメント

  • メインヒロインは「月」じゃなく「白」じゃね?
    2017年01月14日 20:48
  • くじらさん

    コメントありがとうございます!

    ご指摘ありがとうございます。
    おっしゃられる通り、私、名前間違えていました。
    「白」さんに名前を修正いたします。
    2017年01月17日 00:42
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