家庭用事件 (似鳥 鶏) (創元推理文庫) ネタバレ感想

家庭用事件 (創元推理文庫)
《Amazonからのあらすじ引用》
市立高校に入学したばかりの頃は、こんなにも不可思議な事件に巻き込まれて、波瀾万丈な学園生活を送るとは、僕は想像だにしていなかった――。『理由あって冬に出る』の出来事以前に映画研究会とパソコン研究会との間に起こった、柳瀬さん取り合い騒動を描く「不正指令電磁的なんとか」。葉山君の自宅マンションで起こった怪事件「家庭用事件」。葉山君の妹・亜理紗の学校の友人が遭遇したひったくりから、葉山家の秘密が垣間見られる「優しくないし健気でもない」など、5つの謎を描いたシリーズ第2短編集。



似鳥 鶏先生の<市立高校シリーズ>の7冊目、『家庭用事件』のネタバレありの感想になります。

前巻である『昨日まで不思議の校舎』の出版から既に3年たっていたんですね。

月日の速さにも驚きますが、シリーズ名称が<市立高校シリーズ>に決まったことにも、表紙のデザインがいつの間にやら変わっていたことにも驚きました。

前巻までの表紙と、今巻の表紙との差異をどうしたもんか悩ましいですな(笑)

あらすじ引用にありますが、葉山家のある秘密が明らかになります。

その秘密にも驚きますが、それ以上に葉山兄妹の交流が多く描かれていたことに嬉しい驚きがありました。

葉山兄妹のお互いを自然に想い合う姿に胸がほっこりします。

葉山兄妹の交流がメインにありますので、シリーズヒロインである柳瀬さんの出番が抑えめなのは自分的には少し寂しかったですが、それを補うくらいに良い兄妹関係を見れたなと思います。



第1話の『不正指令電磁的なんとか』が葉山君が1年生の1月時点の話であり、シリーズ第一作である『理由あって冬に出る』直前の話です。

第5話の『優しくないし健気でもない』では、2年生の12月時点の話になります。

作中の時間も約1年経っており、伊神さんに続いて柳瀬さんの卒業も近づいています。

柳瀬さんの卒業を区切りとするとあと3ヶ月、葉山君の卒業を区切りとするとあと1年3ヶ月、作中の時間が進むと終了になりますね。

毎月事件が起きるとすると、葉山君の卒業までに15件の事件を見れる計算になりますので、終了までまだまだ事件が楽しめそうです。

ですが、終わりが近づいてきているのが若干の寂しさを伴いますね。


以下に個々の事件のネタバレを含む感想を記載します。

ネタバレを見たくない方はここで引き返すことをお勧めします。









不正指令電磁的なんとか



柳瀬さんは自然に葉山君の体に触れてきますよね。

モテる女性って、こういう風に自然にボディタッチをしてきますが、女性慣れしてない男性からするとどうしたら良いのか分からなくなりますよね(笑)

自分も葉山君のその気持ち凄く分かりますわ。



事件の動機はしょうもないことですが、事件を隠ぺいするためにすることの数々には脱力感が湧きますね

わざわざフォントを自作するところまでは笑えますが、証拠隠滅のために葉山君の携帯データを初期化するのはやり過ぎで笑えないですな。

自分の携帯データが初期化されたら青ざめること請け合いですよ。

携帯データ初期化の結果から、シリーズ第1作である『理由あって冬に出る』につながっていくと思うと感慨深いですね。



的を外れる矢のごとく


何故犯人は的枠なんかを盗んだんだろうな?

とは最初に思っていたのですが、話を追っていくうちにその疑問より、どうやって犯行をしたのかに注目をしてしましました。

最初の疑問点から推理を行うべきでしたね(笑)

的枠を盗むことが目的じゃないという観点からの解決編に目からウロコでしたよ。

固定観念は推理の目を誤らせますね。

葉山君の妹さんと、秋野さんのどちらが先になるのかが興味が湧きますね。



家庭用事件



葉山家を舞台として、葉山君の妹≪亜理紗≫が話のメインに絡んでくる1話。

実に兄にこびていない妹の姿で、安心しますね(笑)

葉山君も妹のことを考えてうるさくは言いませんが、変に甘やかすではなく思い遣る姿はいいですね。


葉山君の料理する姿が見られますが、ゴボウやエビの下ごしらえする姿はまさに料理男子。これは葉山君モテますわ。

料理や食事描写が美味しそうな作品は名作の証と思っていますので、≪市立高校シリーズ≫も名作ですな。


家のブレーカーが何故か落ちたという話から始まる事件は、事件内容が軽い様に見えて洒落にならない事件となってしまいましたね。

葉山君が激高してあわや人を殴りそうになるのも仕方ないと思わせる事件ですね。

それでも我慢できる葉山君は大した男だと思いますね。



お届け先には不思議を添えて



前話に引き続いて葉山君の料理が見られるお話です。

伊神さんも満足した料理なので、いずれは伊神さんの家に通いづまして食事をつくる葉山君の姿が見れる日が来るかも(笑)


ミノは犯行に加わり過ぎですね。短編でミノが登場していたらまずは疑ってもいいかも。

箱の中に箱をしまうという簡単なお仕事。

中身を入れ替えるのではなく、外身を変えるという分かってみれば簡単なことが分からなかったのは、自分に失望ですよ。

発想と考えに柔軟さがないのが自分の欠点ですね。


過去の映像を流すのは結婚式の2次会の定番なので、みんなも過去の想いでの動画とかあると聞かく作りやすいのでお勧めですよと経験者として語ってみました



優しくないし健気でもない


本作メインの話かなと思います。この話の中で葉山家の秘密が色々と明らかにされます。

亜理紗ちゃんは所謂ろう者だったんですね。

葉山君と学校が違う理由も、その違う学校にチーム系の球技部活のないことも伏線だったとは。


健常者側からの付き合い方、ろう者側からの付き合い方ということも考えないといけないですが、そもそも他者との付き合い方を考えさせられますね。

お互いに自分にとっての利点を考えるのは仕方ないと思いますが、相手を自分のイメージに押し込んで、相手自身の本当の姿を見ないのは、人とてNGですね。

自分を振り返って、相手自身をちゃんと見ているかというのは正解かどうかを明確に分かることが出来ず、外れていた時には取り返しのつかないことが多いです。

ですが、相手のことを自然に思い遣ることが出来れば、歩み寄りが出来るんじゃないかなって改めて思いました。

葉山君と妹の亜理紗ちゃんは、お互いを思い遣って支えていっているんだなと暖かい気持ちになりましたよ。



亜理紗ちゃんの秘密とともに、父親についても一端を触れていますね

葉山家から父親の描写が出てこないと思いましたが、どうも家を出てしまっているように見えます。

介護疲れなのか家庭の不和なのかまでは分かりませんが、その葉山君の父親の存在がシリーズに絡んでくるんじゃないかと思います。

≪さよならの次にくる≫で伊神さんの実の親に触れたように、葉山君たちの父親にも伊神さんや柳瀬さんの助けを借りて、向かい合う時がくることを願います。



シリーズ完結して上記の予想が外れていたら笑えますが、完結までは楽しみにしていたいと思います。

次巻は3年以内に出るといいな(笑)

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